Depreciation of the Yen: Be Conscious of Differences between US and Japanese Monetary Policy

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日米の間で、金融政策の方向性の違いが一段と鮮明になった。日本銀行は金融緩和を続ける狙いを丁寧に説明するとともに、為替相場の動向に警戒を強めるべきだ。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は15日、政策金利を0・75%引き上げて、1・5~1・75%とした。上げ幅は通常の3倍で、約27年半ぶりの大きさとなった。

 パウエル議長は0・5%の利上げを決めた5月には、6月も同じ幅の利上げを行う考えを示していた。しかし、5月の米消費者物価指数の伸び率が再び拡大した。

 パウエル氏は記者会見で、インフレ抑止のため強力な利上げで対応する必要があると強調した。

 過度な物価高は低所得者層の生活を苦しめ、経済に打撃を与える。利上げを急ぐのは理解できる。

 欧州の中央銀行も相次いで利上げに動き、インフレの抑制は多くの国の共通課題となっている。

 一方、日銀は17日、長期金利を0%程度に誘導している金融緩和を継続することを決めた。コロナ禍からの景気回復が、欧米より遅れていることが理由だという。

 政策金利を上げれば、住宅ローンや企業の借り入れの金利負担が増し、景気を冷やしかねない。日銀の黒田東彦総裁は、「金融緩和を粘り強く続けることで経済をサポートしていく」と述べた。

 ただ、日本の金融緩和は円安を招いている。日米の金利の差が広がれば、米国で資金を運用する方が有利になり、ドルを買う動きが強まるためだ。円安は、ウクライナ危機で高騰した燃料や食料の国内価格をさらに押し上げる。

家計は生活必需品の価格上昇に苦しんでいる。黒田総裁は「家計の値上げ許容度も高まっている」と発言して強い批判を浴びた。

 金融緩和に伴う円安が物価高の一因となっている中で緩和策を続ける場合、日銀は事態を改善する方策についてどう考えているのか、説明してもらいたい。

 政府の役割も重要になる。まずは燃料費や電気代、食品の価格抑制に向けた具体策をまとめ、家計の支援に努めてほしい。

 物価高の克服には、賃上げが不可欠だ。そこから経済の好循環を実現する必要がある。

 中小企業を含めた賃上げの促進策を拡充し、「学び直し」によるIT人材育成で高賃金が得られる分野への人の移動を促したい。脱炭素やデジタル化など、成長産業の国際競争力の強化も大事だ。

 金融緩和に頼らない力強い経済を取り戻すことが望まれる。

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