米韓軍事演習 日本も連携し対北抑止を
米韓両軍は合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムシールド(自由の盾)」を22日から9月1日まで実施する。韓国で尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が5月に発足して初めての定例演習である。
2018年春以来約4年ぶりの再開で、数万人規模の部隊や航空機、艦船を動員した大規模な野外機動訓練が行われる。軍事的挑発を繰り返す北朝鮮に対する米韓の抑止力を強化するもので、歓迎すべき動きだ。
米韓両軍の演習は、前大統領の文在寅(ムン・ジェイン)氏とトランプ氏の意向で中止または大幅に縮小され、その内容も机上演習が中心となっていた。2018年4月の南北首脳会談や、同年6月に行われた史上初の米朝首脳会談を受けた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)体制との非核化交渉を前進させる思惑などからだ。
だが、北朝鮮はこの間、非核化に向けた具体的措置を一切講じなかった。さらに、文前政権の時代から現在に至るまで弾道ミサイルなど核兵器運搬手段の発射を繰り返し、核戦力の増強を図ってきた。北朝鮮が7回目の核実験の準備を完了したとの観測もある。
金正恩体制が演習に反発してくるのは確実だ。中国も演習に懸念を示すだろうが、米韓に譲歩の余地はない。尹政権とバイデン米政権は、文前政権が骨抜きにした定例演習を着実に充実させて有事に備え、北東アジア情勢の安定化を推し進めてもらいたい。
同時に、北朝鮮とその後ろ盾である中国をにらんだ抑止力の確保には、日米韓3カ国による連携が必須だ。日米韓は今月8~14日、米ハワイ州沖での環太平洋合同演習(リムパック)に合わせ、弾道ミサイルを探知・追尾し、その情報を同盟諸国の艦船で共有する訓練「パシフィック・ドラゴン」を行った。北朝鮮のミサイル発射への共同対処を想定したものだ。
共同訓練は16年以降、数度実施されたが、文前政権は北朝鮮と中国への配慮や日本との関係悪化を理由に公表しないよう求めてきた。尹政権による公表容認は、日米韓の安保関係正常化への意志の表れだろう。
同時に韓国は、18年に日本海で韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊哨戒機に火器管制レーダーを照射したことを謝罪するとともに、再発防止策を講じるべきだ。自衛艦旗(旭日旗)の不当な排斥をやめることも必要だ。日米韓連携には、真摯(しんし)な信頼醸成が欠かせない。
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