検索大手提携/独占による弊害は避けよ
インターネットで競合する二大勢力の大連立が日本で実現することになった。ポータル(玄関)サイト最大手ヤフーと米ネット検索最大手のグーグルの提携である。
ネット上の膨大な情報から、キーワードで利用者が知りたい内容を探し出すのが検索サービスだ。日本では市場の6割弱をヤフー、4割弱をグーグルが占めている。両社の提携でヤフーの検索技術が米国ヤフーからグーグルのものに切り替わるため、事実上、日本の市場は独占状態となる。
両社は広告主や検索利用者の情報を共有せず、サービスは独立して行うという。公正取引委員会は、提携が独占禁止法に触れないとの見解を示している。
とはいえ、自由で多様な情報のやりとりを阻害する恐れが本当にないのか。影響をきちんと見極める必要がある。
検索はネットへの入り口となり、利用頻度がサイトの広告収入に直結するだけに、多くの企業が技術を競い合ってきた。
ヤフーは登録したホームページ(HP)の情報を分類する手法が得意だ。一方のグーグルは、文章や単語を自動的に調べて仕分けるため、内容の更新に素早く対応できる利点がある。世界の検索市場の7割弱はグーグルが占めている。
日本のヤフーはネットオークションなどの収益源もある。検索でグーグルと競うより、他の分野を強化する戦略なのだろう。
米国のヤフーはマイクロソフト(MS)の検索技術を採用し、グーグル追撃を図っている。今回の提携で日米間に「ねじれ」が生じることになる。MS側が競争阻害申し立ての動きをみせるなど、関係業界は神経をとがらせている。
日本のヤフーは提携後も独自技術を加え、検索結果がグーグルと異なるよう競い合うとする。万一、同じような結果に偏れば、検索サービスの公平性だけでなく、ネット情報の信頼が揺らぐ懸念もある。
利用者がネット上で多様な情報のメリットを実感できるよう、両社は提携後も公正な競争に努めるべきである。
急激なネット技術の進化に追いつくには巨額の資金を伴う研究が不可欠だ。今後も、大手の連携が続く可能性がある。
ネットの世界は個性的な発想や技術によって拡大してきた。グローバル企業のグーグルも、もともとは2人の大学院生が始めた研究が出発だった。企業の規模を問わず、革新的な技術が新たな世界を切り開くネットの風土は守らねばならない。
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