U.S. Midterm Elections: How to Respond to the Nation’s Voice

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2年前の「オバマ旋風」はどこへ消えたのだろう。予想されたこととはいえ、あまりにも厳しい逆風である。

 米中間選挙でオバマ民主党が上下両院で大幅に議席を減らし、歴史的敗北を喫した。下院は野党共和党に4年ぶりに過半数を奪われ、上院でも議席数が拮抗(きっこう)するところまで追い上げられた。

 両院とも過半数を割った1994年のクリントン政権以来の惨敗だ。中間選挙は大統領の信任投票でもあり、国民の審判を謙虚に受け止めなければならない。

 イラク戦争の是非が問われた前回とは違い、今回は一向に好転しない景気と雇用という内政問題が争点になった。

 それほど国内経済は深刻だ。失業率は10%前後で推移し、職に就いても賃金は安い。財政赤字は最悪。そんな不満が渦巻く中での選挙だった。

 その急先鋒(きゅうせんぽう)に立ったのが草の根の保守派運動「ティーパーティー(茶会)」である。オバマ政権が断行した医療保険改革や金融規制改革などをやり玉に挙げ、国民に増税を強いると反発した。

 運動は全米に広がり、「変革」に失望した無党派層を引きつけた。支持した共和党の一部候補者を勢いづかせ「オバマ離れ」を加速させたといえる。

 両院の「ねじれ」で政治の停滞は避けられないだろう。景気対策や移民政策、地球温暖化対策など重要法案の成立にも影響を及ぼすとみられる。オバマ大統領が難局をどう乗り切るのか。

 オバマ大統領は就任時、政党間の対立が続く旧来型政治からの脱却を掲げ「民主も共和党もない。一つのアメリカを実現しよう」と国民に呼びかけた。

 しかし、選挙は保守対リベラルの両極化を際立たせる皮肉な結果になった。その民意は何を意味するかをくみ取り、政権の立て直しに生かさねばならない。

 内政問題だけではない。保守強硬派の台頭で懸念されるのは、核廃絶や、アフガン、中東問題、イランや北朝鮮の核問題などをめぐる対応だ。強硬姿勢に変化する恐れもある中、解決に導く姿勢はとり続けなければならない。

 対日政策にも注視したい。基盤が弱まったオバマ政権が内向きになり、東アジアへの対応が後退しないとも限らない。日本政府は大きな影響はないとするが、今後の動向を見極める必要がある。

日米とも内政問題に追われる不安定な政権だ。いまだしっくりいかない日米関係の立て直しという課題も残す。折り返し点を迎えるオバマ政権とのきずなを、さらに強めなくてはならない。

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