Looking Back on the World in 2010: The Year We Experienced a Harsh Security Environment

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日本を取り巻く安全保障環境の厳しさを、改めて感じ取った人が多かったのだろう。

 本紙読者が選ぶ今年の海外10大ニュースには、北朝鮮の暴挙、台頭する中国の異質さを伝えるものが多く並んだ。

 韓国・延坪島への砲撃事件(2位)や韓国哨戒艦沈没事件(8位)は、北朝鮮の好戦的な本質を示した。金正恩氏への権力継承過程に入り(6位)、核開発を続けるだけでなく、武力挑発に出て朝鮮半島の緊張を高めている。

 史上最多の7300万人が入場した上海万博(3位)や、広州アジア大会を成功させた中国は、経済の急成長を背景に、国際舞台での発言力を強めている。

 だが、人権概念の欠如や外交常識をはずれた振る舞いも目についた。ノーベル平和賞が、自国の民主活動家で服役中の劉暁波氏に決まる(7位)と、家族らに授賞式への出席を禁じたほか、各国にも欠席するよう圧力をかけた。

 東アジアの安定に重要な役割を担う米国は、対話と多国間協力を掲げるオバマ政権になってまもなく2年を迎えるが、与党・民主党が中間選挙で敗れ(13位)、下院の多数派を共和党に奪われた。

 それは、国際社会での米国の影響力に陰りを生じさせている。

 ロシアは、メドベージェフ大統領が北方領土を訪問するなど、日本に対して強硬姿勢に転じた。欧米諸国には核軍縮やミサイル防衛で協調姿勢を示しており、東西に異なる顔を見せる国になった。

 不安は東アジア以外にも広がった。内部告発サイト「ウィキリークス」による大量の米国務省公電の公開(11位)は、ネット時代の情報流出の怖さを見せつけた。

 ギリシャの財政危機(12位)に始まる通貨ユーロの信用不安も世界経済を揺るがしている。欧州では、イスラム教徒との共生を拒否する極右勢力が躍進し、社会の寛容さも失われつつある。

 ハイチの地震(4位)、メキシコ湾の原油流出(5位)など天災や人災が相次いだ。

 チリ鉱山事故も人災と言えるだろう。その「奇跡の救出劇」が、今年の1位に選ばれた。地底で耐え続けた33人の勇気と連帯、救出を成功させた人間の知恵が、世界中の人々に希望と、つかの間の高揚感を与えてくれた。

 先行きに不安を抱えながら、21世紀の最初の10年が過ぎようとしている。来年は、世界をよりよい方向へと動かすニュースが記憶に残る年であるよう祈りたい。

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