Doubts in the Summit Meeting: Fabricating the President’s Words

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首脳会談に疑義 大統領発言の「捏造」だ

2011年10月1日

 ルース駐日米国大使にお尋ねしたい。貴国では、外交官が自分の「個人的な思い」を、大統領の発言のごとく装って発表することは許されるのでしょうか。

 9月21日(日本時間22日)の日米首脳会談で、米軍普天間飛行場移設問題についてオバマ大統領が「結果を求める時期に近づいている」と述べたと報じられました。

 会談直後、記者団に会談の模様を説明したキャンベル米国務次官補が次のように述べたからです。「私が思うに、結果を求める時期に近づいていることを日米双方とも理解しており、そのことは大統領によって非常に明確にされた」

 ところが、実際にはそのような発言はなかったことを、野田佳彦首相が国会答弁で示しました。首相は説明者の「個人的な思い」だろうと述べています。

 「個人的な思い」とは何か。日米合意を早期履行しなければ大変なことになるぞ、と日本人、県民を脅す意図でしょう。裏を返せば、焦りの表れにも見えます。

 米議会では軍事費削減の圧力が日増しに強まっています。11月末の追加削減案決定期限までに、辺野古移設が現実化するという見通しを示せなければ、日米合意見直しは必至の情勢です。仕切り直しとなれば、実現性のない合意を結んだ人々の当事者能力に疑問符が付けられるでしょう。

 外交官が大統領の発言を「捏造(ねつぞう)」するのは異常な事態です。当事者能力が疑われ、自らの存在意義が消し飛ぶことへの焦りが「捏造」にまで至った、と見るほか、解釈のしようがありません。

 日本の外務省も、記者団の誤訳のせいにして、キャンベル氏をかばう気のようです。仕切り直しとなれば、当事者能力に疑問符が付くお仲間ですから、当然です。しかし「大統領によって明確にされた」と言い切った以上、どうかばっても姑息(こそく)でしかありません。

 それにしても、虚構をこしらえてまで恫喝(どうかつ)する姿勢といい、あたかも「宗主国」の一官僚に気兼ねして自国の国民の目から真実を遠ざけようとすることといい、日米の交渉当事者たちの言動は目に余ります。

 ルース大使にお尋ねするのは、あのメア氏の差別発言の際、迅速に行動した判断力に敬意を表するからです。このようなアンフェア(不公正)な外交をこれ以上続けるべきか、いま一度お考えください。

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