Ukrainian Declaration: Unity Is G-7’s Top Priority

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ウクライナ声明 G7の結束が先決だ

先進七カ国(G7)首脳会議はウクライナ新政権を歓迎し、ロシアのクリミア併合をあらためて非難した。六日はノルマンディー上陸作戦の記念式典が開かれる。新たな国際秩序の節目としたい。

 オバマ米大統領は、サミットに先立って訪れたワルシャワで、ポロシェンコ・ウクライナ次期大統領らとともにポーランド民主化二十五周年の記念式典に出席した。

 ワレサ元連帯議長も参加するなか演説に臨んだオバマ氏は、「二十五年前、東欧の先陣を切って自由選挙が行われたこの日、地球の反対側では天安門広場の平和的集会が戦車で粉砕された」「クリミア併合で取られた二十世紀の暗黒の戦術が今世紀を決定付けるようなことがあってはならない」などと中国、ロシアを厳しく批判、「今日のウクライナは連帯の継承者だ」と称賛した。 

 一方、ブリュッセルで採択された外交声明は、ウクライナ支持を鮮明にするとともに、クリミア併合を国際法違反として非難はしたものの、具体的には「必要に応じて制裁の強化、追加措置を取る用意がある」との表現にとどまった。

 尖閣諸島をはじめ、中国の挑発行為による緊張が続くアジア情勢についても、「東シナ海、南シナ海での緊張への懸念」「一方的な武力行使による領土主張に反対」を明記しつつも、名指しは避けた。背景には欧米が抱えるそれぞれの内部事情がある。

 指導力を発揮すべきオバマ政権は、秋の中間選挙を控えて外交政策に本腰を入れることができない状況にある。欧州連合(EU)も欧州議会選挙で統合懐疑派が躍進し共通外交の足元も揺るぎがちだ。欧米のお家事情がロシアに見透かされている現状は否めまい。

 第二次大戦を終結に導いたノルマンディー上陸作戦から七十周年の記念式典が六日、フランスで開かれ、主要国首脳の外交の場となる。戦勝国の立場としてプーチン大統領も出席する予定だ。

 戦後の国際社会は自由、民主制、主権尊重、領土保全などを諸原則としている。その上に築かれた欧州安保協力機構(OSCE)体制は、冷戦時代以来の欧州秩序の基盤でもある。

 ロシアが戦勝国としての地位を自負するのなら、自らも含めて合意された国際的秩序の原則を順守する節度は示すべきだろう。この基本原則を確認させるためにも、日本も含めた欧米諸国の名ばかりではない結束が先決だ。

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