US Afghanistan Withdrawal: US Must Fulfill Duty to Hopeful Evacuees

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米アフガン撤退 希望者出国 責任果たせ

アフガニスタン駐留米軍の撤退が完了した。米国は、2001年の米中枢同時テロを機に始めた米史上最長の20年間に及ぶアフガン戦争を巡る駐留終了を宣言した。

 撤退を拙速に進めた結果、イスラム主義組織タリバンがほぼ全土を制圧し、ガニ政権は崩壊した。先月26日には首都カブールで、過激派組織「イスラム国」(IS)系勢力による自爆テロも起きた。

 それでも米軍は撤退を強行し、バイデン大統領は声明で「軍事作戦を終えることが、兵士の命を守り、今後数週間から数カ月の間に、民間人の出国に見通しをつける最善の方法だ」と正当化した。

 しかしアフガン国内には、IS系の戦闘員が少なくとも2千人いるとされ、テロ組織掃討の目的は果たされていない。

 現地の治安は悪化している。国際機関や非政府組織(NGO)の関係者、米軍に協力したアフガン人など、取り残された人々の国外退避が喫緊の課題だ。日本人やその関係者も最大500人残る。

 米国は退避を完遂する責務があることを強く認識すべきだ。

 国連安全保障理事会がタリバンに対し、アフガン人と全外国人の「安全で秩序ある出国」を促す決議を採択したのは当然だ。タリバンは退避を妨害してはならない。

 しかし近隣国の中国とロシアは棄権した。テロリストの流入を恐れたのに加え、人材流出を阻止したいタリバンへの配慮が透ける。

 退避は人道問題である。毅然(きぜん)として、安全な退避をタリバンに求めるべきだ。

 米国は自爆テロで米兵13人が殺害された報復として、IS系勢力「ISホラサン州」に対して、近隣国から無人機による空爆を行った。バイデン氏は継続する方針を示している。

 だが先月29日の空爆では、子どもを含む複数の民間人が巻き添えとなって死亡した。

 アフガン国民の安全確保を投げ出して撤退した上、民間人を犠牲にしていることは看過できない。

 タリバンは「米兵が去り、われわれの国は完全に独立した」と主張し、新政権を近く樹立すると表明している。しかし、恐怖による統治に正統性は認めがたい。

 タリバンはISと対立し、テロを許すなど統治能力には疑問がある。アフガンが再び「テロの温床」になりかねない。女性の権利が脅かされる懸念もある。

 アフガン国民の人権が侵害されないよう、国際社会は関与し続ける必要がある。

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