新型コロナウイルスの新規感染者数は、全国で思うように減らない状況が続いている。3回目のワクチン接種を、いかに若い世代にも広げるかが今後の課題となる。
まん延防止等重点措置の全面解除から1か月が経過した。1日あたりの感染者数は、昨夏の第5波のピーク時を上回る水準だが、政府は小康状態が続いているとみて移動の自粛は求めていない。
専門家は、人の移動が増える新年度に感染が急拡大しなかったのは、一人ひとりの予防意識の高まりも一因だとしている。3年ぶりに制限がない大型連休を迎える。連休明けに増加に転じないよう、引き続き対策を徹底したい。
ワクチンの3回目接種が進むにつれ、その効果も明らかになってきた。東京都の調査では、3回目を終えた人の感染率は、2回だけの人の3分の1にとどまっている。接種回数が増えるごとに感染防止効果が高まるという。
3回目接種を済ませた人は、高齢者では9割近くに上るが、20歳代は3割弱で、若い世代の接種が進んでいない。2回目の接種時期が遅かったため、これから受ける人も多いとみられる。
政府は改めて3回目接種の効果と副反応について、若者に丁寧に説明することが大切だ。
米ノババックス製のワクチンも新たに日本で承認され、選択肢が広がった。国内で生産されるため、安定的な供給を受けられることが期待されている。
ファイザー製やモデルナ製とは異なるタイプで、これまでのワクチンにアレルギーがある人も接種が可能だという。新しいワクチンのため、不安に感じる人もいるだろう。政府は海外のデータを収集し、情報提供に努めてほしい。
政府は接種が後手に回った反省から、4回目のワクチン接種の早期実施へ準備を進めている。これには従来と別の対応が必要だ。
海外の臨床試験では、高齢者の重症化を予防することが確認されている一方、若い人への効果は薄かったという。このため、欧米では4回目接種を高齢者や中高年などに限定している。
4回目の接種で顕著な効果が見られなかった原因は不明だが、日本も海外のデータを分析し、対象者を見極めることが重要だ。
感染症を制御するには、治療薬も欠かせない存在だ。国内では塩野義製薬が2月、国産の経口薬の承認申請をしたが、まだ結論が出ていない。誰もが安全に飲める治療薬の実用化を急いでほしい。
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