GAFA Stock Prices Are Down Because They Have Reached Their Growth Limit

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GAFAの株価が低調、「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由

GAFAの成長期待が鈍化

ビジネスモデルに行き詰まりの兆し

 このところ、「GAFA」(グーグル、アップル、旧フェイスブック・現メタ、アマゾン)の株価が下落基調にある。2022年1~3月期決算が出そろった後も、各社の株価は上昇していない。

 最大のポイントは、各社の成長期待が鈍化していることだ。これまで注目されてきたITプラットフォーマーとしてのビジネスモデルに、行き詰まりの兆しが見え始めている。加えて、米国内の人手不足や、「ディ・グローバリズム」(グローバル化に逆行する動き)に伴うコストアップ要因がGAFA各社を直撃している。

 今後の展開として、GAFAの成長期待は一段と低下することも想定される。それが現実味を帯びると、各社の株価は下落する可能性が高い。ウクライナ危機や中国のゼロコロナ政策をきっかけに、グローバル化の加速を前提としたアップルの事業運営の効率性は、低下する恐れが強くなっている。主要先進国における個人データ保護規制の強化なども、メタやグーグル、アマゾンの成長期待を低下させるだろう。

 米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、“インフレ退治”のため周囲の予想を上回るペースで金融引き締めを進めている。それはGAFAの事業運営には逆風となり、株価の下落懸念を高める要因だ。

これまでのビジネスモデルが

神通力を失うGAFA

過去1年間のGAFAの株価の推移を確認すると、大まかな傾向として21年12月前半まで各社の株価は高値圏で推移した。しかし、その後は株価が上昇していない。それが意味することは、各社が高い成長を維持するのが難しくなっているということだ。

 まず、アップルの成長期待の鈍化を考えてみよう。1990年代以降の米国経済において、アップルはグローバル化を追い風に高成長を実現した企業の象徴である。97年、同社は経営破綻寸前にまで追い込まれていたが、その状況を救ったのが創業者の一人だった故スティーブ・ジョブズだ。ジョブズは高付加価値なソフトウエアの創出に集中し、iPodやiPhoneなどのデバイスや、iTunesなどのサービスの設計と開発に注力した。

 それと同時にアップルは世界各国から優れた部材や部品を集め、完成品のユニット組み立て型生産を、台湾の鴻海精密工業の中国子会社であるフォックスコンに委託した。こうした国際分業によって、製造ラインを自社保有する負担から解放され、高付加価値なソフトウエア創出に集中し、高い収益性を実現したのだ。同社がリーマンショック後の世界経済のデジタル化を加速し、米国および世界経済の成長に与えた影響は計り知れない。

 しかし、近年、こうしたビジネスモデルに行き詰まりが見えている。まず、中国の生産年齢人口が減少し、労働コストが上昇したことは大きい。加えて、米中対立によって世界のサプライチェーンが混乱。さらに、新型コロナウイルスの感染再拡大やウクライナ危機など複合的な要因が重なり、供給制約は深刻化し続けている。

 そうした環境の変化によって、国際分業体制の強化で高成長を実現してきたアップルが、需要を取りこぼし始めているのだ。

SNSへの規制強化、労働組合の結成

逆風強まるITプラットフォーマー

動画や検索、SNSサービスの提供で広告収入を得てきたグーグルやメタ、ネット通販やクラウドコンピューティングなどのサービスを提供してきたアマゾンの成長期待も鈍化している。

 グーグルとメタは、ユーザーである個人の検索や動画視聴、知人関係(ネットワーク)、モノやサービスの購入履歴といった膨大なデータ(ビッグデータ)を優先的に手に入れて、それを販売したり、新しいビジネスに用いたりすることによって急速に収益を増やした。

 しかし、ロシアがフェイスブックを用いて2016年の米大統領選挙に介入した疑惑が浮上したことなどにより、SNSへの規制が強化されている。メタは人海戦術でフェイクニュースの摘発を強化しなければならなくなり、コストが増加した。また、公正さへの懸念から一時、フェイスブックのユーザーが減少した。

 メタの22年1~3月期決算は、売上高の伸び率が上場来で最低となり、同社への懸念は高まっている。同様のことが、検索サービスの強化によって広告収入を増やしてきたグーグルにも当てはまる部分が多い。

 アマゾンは世界に「物流革命」を起こした。同社は、積極的な設備投資によって世界各国で効率的な配送網を整備し、自力でラストワンマイルを構築した。さらに消費者一人ひとりの好みを突くアルゴリズムを開発して消費意欲をかき立て、クラウドサービスも提供することによって有力ITプラットフォーマーとしての地位を確立した。

 しかし、物流施設での過酷な労働環境への反発から労働組合が結成されるなど、成長力には翳りが出始めている。加えて、米国をはじめ世界的な人手不足を背景に、物流センターでの人員やドライバーの確保が難しくなっているようだ。

 倉庫の建設やEV新興メーカーへの投資も業績の重荷になっている。原油などエネルギー資源価格の高騰は燃料費の増加につながり、収益を圧迫している。このようにGAFA各社はこれまでの高い成長スピードを維持することが難しくなっている。

中長期的なGAFA株の下落懸念

業績拡大ペースは鈍化

GAFA各社は正念場を迎えている。今後の展開として、GAFAの業績拡大ペースは鈍化し、株価が下落する可能性は高まっている。各社ともグローバル化の加速を前提にビジネスモデルを構築してきたからだ。

 しかし、ウクライナ危機によって世界経済はグローバル化からブロック化に向かい始めた。世界経済の先行き見通しは悪化したため、広告主の企業はコスト削減を優先しなければならず、SNSや動画サイトでの広告出稿は減少するだろう。また、データ保護やフェイクニュースなどの取り締まりのためのコストも増える。

 世界的な供給制約の長期化によって半導体の不足が長引き、スマホなどITデバイスの生産が計画を下回る可能性も高まっている。中国では経済成長の低下傾向が鮮明だ。IT機器やサービスの需要の低下に加えて、生産年齢人口の減少によって労働コストも上昇するだろう。いずれもGAFAの事業運営の効率性向上を阻害する要因だ。

 加えて、米国をはじめ世界的に物価が急騰している。FRBは金融政策の正常化を急がなければならない。世界的に金利は上昇するだろう。金利上昇によって、企業が永続的に生み出すと考えられるフリー・キャッシュ・フローの「割引現在価値」(将来得られる価値を現在受け取るとしたらどの程度の価値になるかを計算したもの)は小さくなる。GAFAのように成長期待が高い企業ほど、そのインパクトは大きくなり株価の下落懸念は高まりやすい。

 FRBが追加利上げやバランスシート縮小を急ぐ姿勢を一段と強める場合、米国の金利は急速に上昇し、GAFAなどIT先端企業の株価の低下傾向が一段と鮮明化する恐れがある。また、米金利の上昇によって新興国からは資金が流出し、世界経済全体で成長率は低下する展開も想定される。それはGAFAの収益減少要因になるだろう。

 言い換えれば、GAFA各社がこれまでの発想にとらわれることなく新しいモノやサービスを生み出し、需要を創出することが出来るか否か、その実力が問われている。

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