The Obama Initiative and Differing Degrees of Commitment on Nuclear Deterrence

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論調観測 オバマ・イニシアチブ 「核抑止」めぐり温度差

「核兵器なき世界」を呼びかけたオバマ米大統領のプラハ演説から1年。今月上旬から5月初めにかけては「オバマ・イニシアチブ」月間である。

 (1)核不拡散を順守する非核保有国に核兵器を使用しない「消極的安全保障」など核戦略転換を打ち出した米政府の「核態勢見直し」(NPR)発表=6日

 (2)核超大国である米露による新核軍縮条約の調印=8日

(3)核拡散防止条約(NPT)未加盟で核兵器を持つインド、パキスタン、保有国とみなされるイスラエルを含め、47カ国の首脳が核テロ対策を確認した核安全保障サミット=12・13日

そして、来月3日からは、NPT加盟国ながら核兵器開発が懸念されるイランなど各国の国益がぶつかり合うNPT再検討会議が開催され、核をめぐる議論は大きな山場を迎える。

各紙社説は一連のイベントのうち米露の核軍縮と核安保サミットをおおむね評価した。毎日は、サミットについて「北朝鮮への対応が明確でない」としつつも、ウクライナなどが高濃縮ウラン放棄を表明したことを「意義深い」と述べた。朝日は米露の核軍縮調印について「他の保有国の動きを促す下地を作った」とし、特に中国に核軍縮を求めた。読売、日経、産経各紙もほぼ同様の主張だった。

これに対して、温度差が見られたのが、米政府のNPRについての評価である。

毎日は「揺らぐNPTの原点に戻って世界の危険な現状の改善をめざすオバマ政権の取り組みを評価する」と歓迎した。同時に、イランと核実験を行った北朝鮮を消極的安全保障の例外としたことは「当然」とし、日本政府に対し、北朝鮮の脅威を念頭に「米国の核戦略が日本の平和と安全に寄与するかどうかを見定める」よう求めた。

NPRへの疑問を強く打ち出したのが産経だ。「『核の傘』運用に不安残す」との見出しを掲げ、核兵器の役割を縮小させることに懸念を表明し、日米両国が「通常戦力から核に至る切れ目のない防衛・抑止態勢強化を進める必要」を強調した。

読売はNPRについて明快な評価を避けつつ、「現実の脅威への抑止を弱めることになってはなるまい」と主張、日経は「『核兵器なき世界』推進への一歩」と評価したうえで、「中国や北朝鮮などをにらんだ米国の核抑止力が揺らぐ事態は防がねばならない」とも述べた。

一方、朝日はNPRと北朝鮮の関係について、明確な主張や評価はなかった。【論説委員・岸本正人】

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