Show Some Accountability with the Defective Airbags!

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【欠陥エアバッグ】説明責任きちんと果たせ

 タカタ製の欠陥エアバッグ問題が新たな局面を迎えた。

 米運輸当局は米国でのリコール(無料の回収・修理)対象を、これまでのほぼ2倍にあたる約3400万台に拡大すると発表した。タカタがエアバッグに欠陥があることを認め、リコールを広げることに同意したという。

 一部地域に限っていた助手席用のリコールを全米に拡大し、既に全米で行っていた運転席用も増やす。米国の自動車リコールとしては過去最大の規模となる。

 リコール拡大に消極的だった方針を転換し、事態の収拾を図ろうとするのはもっともだ。一方で原因は今なお特定されておらず、利用者の不安は拭えていない。国内外を問わず、引き続き原因究明と被害防止に全力を尽くすべきだ。

 問題のエアバッグは、作動時にガス発生装置が破裂し、金属片が飛び散って運転手や同乗者がけがをする恐れがある。米国などでは死亡事故も報告されている。

 安全を守るはずの装置が命を奪いかねない。そんな不安が世界中の利用者の間に広がっている。

 だがタカタの対応は後手に回った。米国では当局が強く求めていたリコールの全米拡大を拒否し、自動車メーカーが自主的に行うリコールに協力するという形で対応してきた。

 経営トップも依然として、公の場で問題について語っていない。かつて米国でリコール問題に揺れたトヨタ自動車は社長が議会の公聴会で謝罪し、事態は収拾に向かった。なぜこの教訓を生かせなかったのだろうか。

 タカタの高田重久会長兼社長は「米当局や自動車メーカーと協力し、安全性向上のためにあらゆる手段を講じる」とのコメントを出した。

 だが姿を見せないままでは利用者の理解を得るのは難しいのではないか。きちんと向き合って説明するべきだ。

 今回のリコール拡大は経営面への影響も大きいといわれる。顧客である自動車メーカーのタカタ離れが進んだり、交換部品の増産などに多大な労力を割かれたりする可能性がある。

 タカタはエアバッグ以外にもシートベルトやチャイルドシートなど安全を守る装置を手掛けてきた。利用者の安全・安心を第一に考える。業績への影響を抑えるためにも、その原点に立ち戻ることが重要だ。

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